不登校の子を無理やり強制登校させることのリスクを事例から解説

「このままでいいのだろうか」
「無理にでも登校させたほうがいいのでは?」

不登校の子どもを前に、多くの親御さんが悩み、
揺れ動きます。

特に、休み始めてから時間が経ってくると、
「このままでは社会に出られなくなるのでは」といった不安が強くなり、
“無理にでも行かせる”方向に気持ちが傾くこともあるでしょう。

インターネットや周囲の体験談を見ると、
「無理やりでも連れて行ったら行けるようになった」という声もあります。


しかし、それと同じくらい、
「無理やり登校させたことで親子関係が壊れた」「その後一切心を閉ざしてしまった」
という声も確かに存在しています。

この記事では、“強制的な無理やり登校”の是非と、
親としてどう向き合えばいいのかについて、事例も交えながら考えていきます。

焦る気持ちを一度立ち止めて、
「子どもの心にとって本当に必要な関わりとは何か」を一緒に探っていきましょう。


不登校を経験した子どもたちには、
ある“共通点”があると感じています。


それは、
将来に活かせる大きな可能性を秘めているということ。


私自身が元・不登校だったことに加え、
16年間多くの不登校の子どもたちを見守ってきた経験から、


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不登校がギフトになる人の共通点とは?元不登校が語る不登校脱出の秘訣

目次

不登校からの「無理やりの強制登校」が逆効果だったケース

「一度行ってしまえば、案外なんとかなるかもしれない」

そう考えて、力ずくで子どもを登校させようとする
――これは多くの親が一度は抱く考えです。


でも、その“なんとかなる”は、表面的な登校という「結果」でしかなく、
子どもの心の中で何が起きているのかまでは見えにくいものです。

実際にあったケースをご紹介します。


ある家庭では、不登校が続く中学2年生の子どもに対して、
親が友人を「助っ人」を呼びました。


来たのは武道経験のある屈強な大人4人。
子どもを囲むようにして連れ出し、無理やり学校へと向かわせたのです。


その光景はまるで“逮捕”に近いものだったそうです。
ご職業はご想像にお任せします。

その後、子どもはしばらく部屋に閉じこもり、
親と一切口をきかなくなってしまいました。


言葉を失い、
信頼関係も絶たれたような状態になってしまったのです。

そして、家出をしてしまい、警察のお世話になり、
家に帰ることを拒否するようになったそうです。

このような反応は、決して稀なケースではありません。

一見すると登校“成功”に見えても、
内面には「強制された」「怖かった」「もう誰も信じられない」
という感情が深く刻まれてしまうことがあるのです。

大学生になっても社会人になっても「いまだに許せない」
そう言っている人を筆者は多く見てきました。

また、身体症状(頭痛・腹痛・吐き気)が悪化したり、
「二度と学校という言葉を聞きたくない」と、
完全に拒否してしまう子も少なくありません。

もちろん、無理やり登校させてうまくいくこともあるでしょう。

けれど、それはあくまで“たまたま”成功しただけの話であり、
誰にでも通用する方法ではありません。


むしろ、多くの子どもにとっては、
恐怖や怒り、諦めの感情が心に残り、
長期的なトラウマにつながるリスクのほうが大きいのです。

次章では、「突然行けるようになる子もいる」という話の“本当の意味”を解き明かしていきます。

「突然行く」ことはあるが、それは“自発性”によるもの

不登校の相談を受けていると、ときどきこうした声を聞くことがあります。

「本当にある日、急に『学校行く』って言ったんです」

「昨日まで布団から出られなかったのに、今朝は制服に着替えてました」

このような「突然の登校」は、たしかにあります。

けれど、それは周囲が無理やり動かした結果ではなく、
本人の内側から自然に湧きあがった“意思”によるもの
です。

多くの場合、その“突然”の背景には、
時間をかけて少しずつ整えられた心の安全基地があります。


たとえば、親が無理に学校の話をしないようにしていたり、
家庭内で安心できる会話を重ねていたり、
訪問支援やフリースクールで信頼できる大人と出会っていたり……。


そうした“小さな積み重ね”の上に、
本人の中で「行ってみようかな」という感覚が育ってくるのです。

この“自発性”があるかどうかが、
登校後の継続性や心の安定を大きく左右します。


無理に引きずり出された子と、自分で「行ってみよう」と思えた子では、
回復の土台がまったく違うのです。

だからこそ、周囲ができることは、「突然を引き出そう」と焦ることではなく、
“いつでも行けるように整えておく”という姿勢です。

たとえば――

・学校の時間に無理に合わせるのではなく、子どもの生活リズムを整えること

・本人が関心を持てることを一緒に楽しむこと

・学校とのやり取りを代わりにしておき、「戻る準備は整ってるよ」と安心させること

こうした“見えない準備”をしながら、信じる力を持つことが、
子どもを支える最善のアプローチとなります。

「強制登校」が生む心の傷──大人になっても消えない

不登校の子どもにとって、心が追いついていない段階での“強制登校”は、
心の深いところに「傷」として残ることがあります

子どもは大人よりも未熟で、
言葉で自分の気持ちを説明することができません。


それでも、体や感情は確かに
「嫌だ」「怖い」「苦しい」と反応しています。

たとえば、先述のように大人たちに囲まれて連れて行かれた中学2年生の子がいます。

見た目はただ静かに従っているようでしたが、
心の中では何が起きていたのでしょうか。


「誰もわかってくれない」「味方がいない」「逃げ場がない」
――そんな感情が渦巻いていたかもしれません。

その子は結局、部屋に閉じこもり、親とも一切話さなくなってしまいました。

無理に登校させたことで「親さえも信じられない存在」になってしまったのです。

こうした体験は、本人の中でトラウマ(心の傷)として残りやすくなります。

トラウマとは、ただの“嫌な思い出”ではありません。


時間が経っても、その時の感情や感覚が再生されてしまうような、
心の安全を揺るがす記憶です。

強制的な登校は、一時的には“成功”に見えることがあります。

しかし、本人の中で「学校=恐怖」「親=加害者」と感じられてしまうようになると、

将来にわたって人間関係や社会との関わり方に影を落とすこともあるのです。

実際、繰り返しになりますが、支援の現場では、大人になってから
「親に無理やり学校に行かされたことが忘れられない」と語る人が少なくありません。


なかには、うつ状態になったり、
人間不信に悩み続ける人もいます。

「学校に行かせたい」という親の思いは、
けっして悪いことではありません。


でも、その“やり方”を間違えると、
子どもの心に一生残る深い傷を残す可能性があるのです。

子どもの人生は、目先の「登校」だけでは決まりません。

10年、20年先も見据えたとき、いま一番大切にすべきものは何か――

それを見つめ直すタイミングかもしれません。

「無理させず、あきらめず」——支援の現場から見える回復の道

「無理させたら壊れるかもしれない」

「でも、このままずっと部屋にいたら将来が心配」

――不登校の子どもを前にしたとき、親の心は葛藤で揺れます。


「待つこと」が大事だとわかっていても、
何もせずにいることには強い不安がつきまとうでしょう。

けれど、支援の現場で日々見ているのは、“無理をさせず、あきらめずに関わることで、
子どもは少しずつ回復していく”という事実
です。

たとえば、こんな例があります。

中学1年生の段階で不登校になったある男の子は、
当初は誰とも口をきかず、家庭内暴力のような行動も見られました。


親御さんは「どうしても高校には行ってほしい」という強い思いを持っていましたが、
あるときから“行かせる”ことを手放し、「本人の言葉を待つ」スタンスに切り替えました。

代わりに行ったのは、ほんの小さなこと――

・本人が興味を持ちそうなYouTubeの話題をふってみる

・夕飯を一緒に食べられる日を大事にする

・本人の得意なゲームをそっと見守る

こうした関わりを続けるうちに、少しずつ会話が戻り、
やがて「そろそろ勉強しようかな」と自分から言い出すように。


その後、通信制高校への進学を果たし、
いまではアルバイトも始めています。

このように、回復の道は「学校に行けるかどうか」ではなく、
「自己を取り戻していくプロセス」なのです。

ポイントは、「あきらめないこと」と「無理をさせないこと」の両立です。

無理に引っ張るのではなく、
本人が「もう一度、外の世界とつながってみようかな」と思えるような安心の土壌を、
家庭の中につくる。


それが、親にしかできない、最大の支援です。

支援者やフリースクール、訪問カウンセラーなどの外部の手も借りながら、
親子で歩んでいく回復の道。


それは時間がかかるかもしれませんが、
決して「遅すぎること」はありません。

高額な不登校支援により、
超短期での再登校とリバウンドを繰り返して
再起不能の状態になってしまった話も聞きますので。

参考:不登校「解決支援機関」の耳を疑うアドバイス 正常判断を失った両親が次女を自傷行為に追い込んで抱えた深い後悔

親ができる“今日からの関わり方”5つのヒント

「無理やりはよくない」とわかっていても、
「じゃあどうすればいいのか?」と迷う方は多いはずです。


ここでは、支援の現場や当事者の声から見えてきた、
“今すぐにでも始められる関わり方”のヒントを5つご紹介します。


① 子どもの言葉や沈黙を否定しない

たとえ「学校なんてもう一生行かない」と言われても、
「そんなこと言わないで」と否定しないでください。


子どもは、今の自分を守るために精一杯の言葉や態度を使っています。

それを受け止め、「そう思うくらい、つらいんだね」と共感するだけで、
心の扉は少しずつ動き始めます。


② 無理に誘わず、「気にかけているよ」と伝える

「学校どうするの?」「今日は行けそう?」と聞きたくなる気持ちは自然です。


でも、それよりも「あなたのことをちゃんと見ているよ」「一緒にいるよ」という“存在の承認”のほうが、はるかに力になります。


たとえば、「お昼できたよ」「一緒にテレビでも見る?」など、
登校とは関係のない声かけが信頼を育てます。


③ 学校の情報は“共有”でなく、“眺める”くらいにする

学校の話題をまったく避ける必要はありませんが、「○○先生がこんなこと言ってたよ」とか
「文化祭あるらしいよ」といった軽い話題として眺めるようにするのがおすすめです。


“情報として知る”ことで、いつか本人の中に「行ってみようかな」という感覚が芽生えることもあります。


④ 家の中で“成長”や“学び”を感じられる場をつくる

勉強だけが成長ではありません。料理を一緒にする、
ゲームの攻略を手伝う、動物や歴史の動画を見る。


それらも十分に学びです。

「できること」が少しでも見えるようになると、
子どもの自己肯定感は確実に回復していきます。


⑤ 親自身が自分のケアをする

親が不安や焦りを抱えたままでは、子どもも敏感にそれを感じ取ります。

信頼できる人に相談する、支援団体やカウンセリングに繋がる、たまには一人の時間を持つ。


親自身が「大丈夫」と思える状態を保つことが、
最も大きな支援になります。


焦らず、でも手放さず。

親の“あり方”そのものが、子どもの未来に静かに力を与えているのです。

おわりに:不登校の子を無理やり強制登校させることの是非

「無理にでも学校に行かせた方がいいのでは?」

そんな思いが頭をよぎるのは、
ごく自然なことです。


親として、子どもの将来を思えばこそ、
不安や焦りを感じるのは当然です。

けれども、力ずくで登校させることが、
長い目で見て本当に子どものためになるかどうか
――

そこに一度、立ち止まって考えてみてほしいのです。

私たちが目指したいのは、
“とりあえず登校させる”ことではありません。


それよりも、子ども自身が「また一歩、進んでみようかな」
と思える心を取り戻すこと



そして、その思いが生まれるまで、
焦らず、でも信じて待つこと。

無理やり登校させることで心が閉ざされてしまえば、
親子の関係そのものが壊れてしまうこともあります。


けれど、親が「あなたの味方でいるよ」と伝え続けることで、
子どもは少しずつ、外の世界と再びつながろうとする力を取り戻していきます。

“急がば回れ”という言葉のとおり、遠回りに見えても、
本当に意味のある回復には時間が必要です。


そのプロセスを、どうか大切にしてください。

親の関わり方ひとつで、子どもの未来は大きく変わる。

焦らなくていい。あきらめなくていい。

あなたのその存在が、子どもの再出発の「土台」になるのです。

不登校を経験した子どもたちには、
ある“共通点”があると感じています。


それは、
将来に活かせる大きな可能性を秘めているということ。


私自身が元・不登校だったことに加え、
16年間多くの不登校の子どもたちを見守ってきた経験から、


本当に伝えたいことを無料のメール講座にまとめました。

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不登校がギフトになる人の共通点とは?元不登校が語る不登校脱出の秘訣

■ 記事のまとめポイント

  1. 「無理やり登校」は一時的な成功に見えても、心のトラウマを残すリスクがある。

  2. 実際に武道経験者4人で中学生を連れ出した事例では、登校後に完全な拒絶反応が起きた。

  3. 登校刺激は、本人の準備が整っていない状態で行うと逆効果になりやすい。

  4. 「突然行けるようになる」ケースも存在するが、それは本人の自発性に基づいている。

  5. 自発的な登校には、親の“待つ姿勢”と“安心できる環境”が前提にある。

  6. 無理な登校が心の傷として残ると、大人になっても人間関係や社会参加に影響を与えることがある。

  7. 回復には時間がかかるが、「無理をさせず、あきらめず」の姿勢が最も有効。

  8. 支援現場では、親が関わり方を変えることで子どもが立ち直った事例が数多く報告されている。

  9. 親にできることとして「否定しない」「見守る」「学びの機会をつくる」などがある。

  10. 親自身の感情をケアすることも、子どもに安心感を与える大切な支援。

  11. 「登校させる」ことよりも「人生を自分の力で歩めるようになること」を目指す視点が必要。

  12. 子どもの未来は、親の“焦らず信じる関わり”で大きく変わる。

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