敵を知り己を知れば百戦してあやうからず 孫子
さて、USPは広い概念です。
そこでよくあるタイプについて解説しておきたいと思います。
その前に補足を3つほど。
まず、USPはHSPやAC(アダルトチルドレン)などのように医学用語ではありません。
ただし、HSPやACなどは医師なども使用している概念ではあります。
USPも教育界や医療界で使われるような概念となることでしょう。
次に発達障害が厳密にタイプ分けしづらいように(ADHDとASDなど)USPも厳密にタイプ分けすることは困難であることはご了承ください。
さらに、発達障害や愛着障害やその他の診断などを否定するものでもないことをご了承ください。普通に重なる、両立する概念です。
USPのタイプ解説
不合理への反発系
このタイプは独特の観察力で大人社会の矛盾を見つけます。
そして反発するというタイプです。
本人が自覚している場合と無自覚な場合があります。
たとえば、小6の子が中学受験塾に通っていて、学校の授業を「なぜ受けなければならないのか」と反発する。
誰もが反発しそうなものですが多くの子は普通に通うわけです。
そこに素直に反発するというのは独特の感性と言えるでしょう。
当然、大人に怒られて小さな傷を増やすわけです。
そしてある日、ボディーブローが効いてダウンということが多いです。
不合理への疑問系
このタイプは独特の観察力で大人社会の矛盾を見つけます。
そして疑問を持つというタイプです。
疑問を持つと人は能力の発揮率が落ちます。
会社員の方が会社の方針に疑問を持ったりするとパフォーマンスが落ちますよね。
本人が自覚している場合と無自覚な場合があります。
たとえば、なんで勉強しないといけないの?と疑問を持ったりする。
マスコミやネットでは学歴なんか要らないと言う有名人が多いのにと。
誰もが疑問に思いそうなものですが多くの子は普通に通うわけです。
そこに疑問を持つというのは独特の感性と言えるでしょう。
ちなみに疑問系は勉強面でも怒られる傾向があります。
ひとまず暗記してから前に進むということはよくあります。
普通は「九九はなぜ九九なの?」とか考えませんでしょう。
塾や学校で怒られるまで行かなくても、バカにされるということはあり小さな傷を積み重ねる傾向があります。
不合理への反発・疑問系の有名人としては大前研一、山口絵里子(マザーハウス)などがいらっしゃいます。
仲良くしたいので和を重んじすぎる系
このタイプは和を重んじすぎてストレスをためてある日動けなくなるということがあります。
良い子だったり、優等生だったりします。
平和主義で無理をしてストレスをためてしまう。
親や大人に喜んでもらいたい場合もあれば、友達に喜んでもらいたいという場合もあります。
ひとまず周りに合わせているとその場は丸くおさまりますが、本人の中に矛盾が蓄積されていったりする。
それで無自覚に葛藤するわけです。
優しすぎるという意味で独特の感性と言えるでしょう。
このタイプの有名人には家入一真さんや徳井義実さんがいらっしゃいます。
ひそかに負けず嫌い系
このタイプは負けず嫌いですが人間いつも勝てるわけではありません。
誰だって負けるのは面白くないのですが、より負けず嫌いなタイプです。
負けることによるダメージをより蓄積し、内にこまったり、現実逃避したりします。
「親のせいだ」と当たるのもこのタイプが多いです。
また、「負けそう」ということでこれ以上傷つくのを避ける傾向もあります。
このタイプの有名人には指原莉乃さんやサッカーの森安一監督などがいます。
正義感などから曲がったことが許せない系
正義感から許せないでストレスを蓄積するタイプがいます。
曲がったことが許せないタイプ。
不合理に反発系と似ていますが、不合理に反発系は合理性に納得すれば曲がっていても納得します。
そこが違います。
これも無自覚な場合と自覚てくな場合があります。
このタイプには白石麻衣さんや石原慎太郎さんなどがいらっしゃいます。
好きなことに熱中したい系
このタイプは自分の好きなことに熱中したいタイプです。
個性的でもあります。
オタク気質だったり、芸術家気質だったりします。
独特な感性の代表的なタイプだと言えるでしょう。
絵や小説やダンスなどの一芸に秀でて芸術家になったり、天才と呼ばれたりします。
ゲームなどの小さい世界では仲間などから崇拝されていたりすることもあります。
受験勉強や仕事などをすると瞬く間に成績が上がるタイプです。
このタイプの有名人には星野源さんや宮本亜門さんなどがいらっしゃいます。
学究肌系
1人で勉強や読書などをしているのが好きなタイプです。
入試などに直結する勉強でないことも多いのが特徴です。
好奇心があり理論的な探求が好きなことが多い。
学校の勉強が底が浅いと感じていたりします。
受験勉強をすると瞬く間に成績が上がるタイプです。
ただし、仕事の場合は頭を使うポジションにつくまでは不利かもしれません。
このタイプの有名人には柳井正さんなどがいらっしゃいます。
*柳井さんは大学卒業後にニートで不登校ではありませんが。
周囲との違和感系
周りとの感じ方の違いに違和感を感じるタイプです。
日常のちょっとしたことで「普通ならこう感じるのかもしれないけど自分の場合はこう感じる」ということに違和感を感じます。
不合理への疑問系に似ていますが、
この場合は単純に感じ方が違うというところにかすかに傷つくということです。
このタイプの有名人にはマツコ・デラックスさんや千原ジュニアさん、斎藤飛鳥さんなどがいらっしゃいます。
楽観視系
明るく調子の良いことを言うタイプ。
少なくとも家では口が達者。
周りの人を笑わせるので友達は多かったりする。
学校では楽しそうと先生に言われる。
なぜ学校に来ないのか首をかしげられるタイプ。
お調子者の割に打たれ弱く、先生の真似をして怒られて不登校になったりします。
このタイプの有名人にはビリギャルさんがいます。
ビリギャルさんは不登校では無いですがイメージしやすいかなと。早野もこのタイプです。
共感・優しい系
他の人よりも人の気持ちが分かり、優しいタイプです。
共感力があり、観察力と洞察力がある。
それは素晴らしいことですが、それにより苦しい思いをしてしまうということがあります。
人との間に境界を引くということが課題となるタイプです。
このタイプの有名人には中川翔子さんや生駒里奈さんがいらっしゃいます。
直観力・頭の回転系
このタイプは鋭い観察力を持ちます。
1を聞いて10を知るタイプと言えましょう。
HSP系と似ていますが、多いのであえて独立させました。
ただし、この長所にはデメリットもあります。
勝手に連想して誤解をして傷つくということがあるからです。
頭が回転しなくていいところで回転してしまう。
性能が良い「自分自身という車」をうまく運転できるようになる必要があります。
でないとたとえば、友達がいじめられてるのを見て自分が不登校になるということがあります。
自分がいじめられたわけではないのですが。
頭や感覚の回転が早く「次は自分かも」「学校は安全な場所ではない」などと連想してしまい苦しむわけです。
自覚がある場合と無自覚な場合があります。
ちなみに人が苦しむのは連想を自動的にしてしまうからです。
たとえば、子どもが不登校⇒将来ダメだ⇒親である私のせいだ⇒私は最低だ、みたいに。
これを一瞬の間にやってしまうわけです。
このタイプの有名人にはあいみょんやあのちゃんがいますね。
補足:それぞれのタイプの葛藤により消耗するメカニズム
上述のタイプは1つではなくいくつか持っていることが多いです。
そして無自覚のうちに板挟みになり消耗します。
心理学では葛藤と言います。
板挟みの辛さはたとえば、大人でも苦しいものです。
たとえば、会社の部長さんだとして、上からは理不尽な目標を押し付けられる。
下からは反発される。こんな状況で苦しむ人も多いでしょう。
鬱になる人もいますね。
ロミオとジュリエットみたいな「あちらを立てればこちらが立たず」状態は辛い。
小説では悲劇的な結末を迎えることがあるほど。
子どもも内なる葛藤で苦しみます。
たとえば「共感系」と「仲良くしたいので和を重んじすぎる系」の2つを持っているとしましょう。
そうすると、「もう限界だけど親も悲しませたくない」と苦しみます。
友達に「来なよ」と言われて、学校に行って仲良くしたいのにとさらに苦しむ。
少なくとも多くの子が「学校に行きたい」けど「行けない」で苦しんでいるのは間違いありません。(一部の子は除く)
こうした状況でのストレス反応として、現実逃避か親や世間を責めるか自分の内で深く落ち込むということが現実での現象として現れます。
ネットで不登校の子は無気力タイプが多いなどと言われますが、無気力は結果なのです。
メカニズムを理解すれば、この状況から抜け出すことは容易です。