メカニズム補足

さて、前ページで解説したメカニズムですが、いくつかなじみの無い概念が出てきたかもしれません。(すでにピンと来た人はこのページは読まなくて良いです。)

ランママ
私はもう少し分かりたいです。

所長
ありがとうございます。解説しがいがありますね。
 

 

「能力があること」と「能力が発揮できること」は別のこと

まず発揮率という概念でしょう。

人は能力があっても発揮できないということはよくあります。

「能力があること」と「能力を発揮できること」は別なのです。

たとえば、サッカーが好きな方はご存知だと思いますが、ホームチームはアウェーチームよりもはるかに有利です。

同じチームでも本拠地だと好調で、敵地だと不調なのです。

これは統計的に証明されています

家だと元気だけど、外に出ると大人しい。

そんな子は多いかもしれませんが、それが人間は普通。

また、発揮率は自己責めをしても落ちます。

他人から責められると能力が出せないのはよく見る光景だと思います。

会社でパワハラに新入社員があっていたらどうでしょうか?

会社に来れなくなってしまうかもしれませんね。

(今の時代だともう見られない光景かもしれませんが)

会社に行く能力はあっても(体力的に)、会社に行く能力を発揮できないのです。

他人から責められても能力の発揮率が落ちますが、自分で自分を責めても能力の発揮率が落ちます。

真面目な人は理想が高く、自分で自分を責めていることがよくあります。

心の中にお姑さんがいるような感じでしょうか。

無自覚に自分をいじめていたりするのです。

よくある不登校になる流れは次のようなものです。

まずユニークな感性を持っていて、学校などでなんとなく居心地が悪い時がたまにある。

そこで思春期になり「自分は変な奴だ」と無自覚に自分を責めているうちに能力の発揮率が落ちる。

そんな時に能力発揮率が落ちているので失敗して先生や親に怒られたり、友達に白い目で見られたりする。

そういった小さいことが日々積み重なる。

他の人からは何もないようにしか見えないけど。

しかしある日、学校に行こうとすると玄関の前で足が止まるというわけです。

ランママ
心の中にお姑さんがいたらしんどいですよね。
所長
私などはそのタイプでした。意外に自分に厳しい。で、自滅。

プチパニックという概念

さて、発揮率が落ちた状態をプチパニックと表現することがあります。

パニック障害まで行かなくてもそれに近い状態になることです。

プチパニックはどんな時に起こりやすいでしょうか?

たとえば期待が裏切られた時です。

通常の想定と違う現実があらわれた時。

私は高校生でコンビニで初バイトしたのですが、レジのミスが多く大きなショックを受けました。

自分は算数は得意だと思っていのですが計算が合わない。

これは高校生には意外に大きなダメージでした。

レジが合わないわけがないのに合わない。

自信をなくして辛かったものです。

郵便を出しても届かない世界に転生してしまったようなショックでしょうか。

*私はADHDの診断は受けておりません。ADHDタイプだとは思いますが。

親御さんでもたとえば、お子さんが学校に行っていると思ったら、実は近くのマックでゲームしていて遊んでいた。

これはショックで落胆も大きいでしょう。

人によっては激怒してしまうかもしれません。

落胆も能力の発揮率が落ちていますが、怒っているのも感情に流されているので能力の発揮率は低い状態です。

数学のテスト中に激怒していて良い点数が取れるでしょうか?

会社で言えば、取引先との交渉中に激怒していてうまくいくでしょうか?

USPの子も期待が裏切られるようなことがあり、発揮率が落ちていることがよくあります。

これはいじめにあったとか明確なことは少なく「えっそんなことで?」ということが多いのです。

本人は笑っていても小さくショックだったりします。

あるアメリカ帰りの中学生は授業中に積極的に発言したそうです。

しかし、周りからは白い目で見られる。

アメリカだと発言するのが当たり前のようなのだそうです。

その子は自分の常識が通用しない世界に転生してしまったような恐怖を感じたことでしょう。

USPの子はそのような心境を経験しているのです。

ただし、本人は周りからは落ち込んでいるように見えないということはよくあります。

そこが難しいところですね。

 

 

発揮率が落ちた状態の見分け方について

さてややこしいことに、人によって能力が落ちた時の状態は違います

代表的なストレス反応の3つの状態についてご紹介しましょう。

 1つ目のタイプは落ち込むタイプです。これは分かりやすい。

落ち込んで自分を責める。「消えたい」「自分はダメだ」とか言います。

 

2つ目のタイプは他人を責めるタイプです。

ピリピリしてイライラという感じです。

他人を責める。「親が悪い」とか「学校が悪い」とか言います。

 

3つ目のタイプは現実逃避するタイプです。

「もうどうでもいいやー」と酒に走る。

子どもであればゲームやアニメでしょうか。軽いノリが特長です。

 

上記の3つはどの状態でも発揮率が低い状態です。

試験中に「もうどうでもいいやー」とお絵描きする。

こういう子いますよね。当然に点数が低い。

 英語や国語の読解問題の試験中に「俺はダメだ。もっと勉強しておけば良かった」と自己責め。これも点数は低いですよね。

 

 

不登校になると家族仲が悪くなるメカニズム

この発揮率が低い状態は連鎖します。

会社でも部長がイライラしていると課長がおどおどして冷や汗をかいたりします。

で、新人君が「こんな会社どうでもいいやー」と辞めてしまう。

たとえば、USPの子が「もうどうでもいいやー」と学校に行かずにゲームに走ったとしましょう。

両親は想定外のことでパニックに。

お父さんは「おれは悪くない。お母さんが甘いからだ」とイライラ。

お母さんは「私が悪いのかしら」と自己責め。

両親の不仲を見て事態に愕然とした子どもはさらに「もう知らんわー」とゲーム。

なんせ今から現実に向き合うのはかなりしんどい状態。

さらに両親のすれ違いは広がり、さらに子どもは現実逃避し、以下同文のループ。

USPから始まる連鎖の流れを見極めて、断ち切った後にケアをすれば良いわけです。

私の本でもやり方はご紹介していますし、このHPでは解決サービスもご紹介しています。